日本のLGBTカメラマンとして活躍する森栄喜さん。
「同性愛」であることをカミングアウトし、その活動家としても知られています。
カメラを通して人権運動を行い、様々な見方をを社会に訴えかけるカメラマン森栄喜さん。
そんな個性的なカメラマンの森栄喜さんが使うカメラや作品はもちろん、wikiにはのっていないようなSNSやインタビュー記事まで掘り下げていきたいと思います。
この記事の目次
写真家 森栄喜とは(プロフィール)
森 栄喜(もり えいき)1976年ー42歳 石川県金沢生まれ
パーソンズ美術大学写真学科卒ーフリーランス
第39回木村伊兵衛写真賞を受賞(2013年 ナナクロ社)
カメラマン森栄喜さんは日本国内でも大変有名なカメラマンの一人です。
1976年に石川県の金沢で生まれで現在は東京で活躍されており、東京在住のカメラマンとして知られています。
カメラマンとしてプロフィールでは写真が公表されていますが、さわやかで軽やかな「活動家」ということでも知られています。
彼はカメラマン・アーティストであると同時に「ゲイ」であることをカミングアウトしているカメラマンとして知られています。
そのポートレートについてですが、特徴的なのは美しい男性たちの表情や裸、日常などを撮影しています。
これらは、同性愛を公表している彼にとって人権運動の1つとして捉えているそうです。
しかし、あくまでも楽しく撮影をすることを心がけているそうで、これらの作品を通し、そしてさまざまな方に見てもらうことによって社会に訴えかけています。
そして、レンズの向こうへ希望を求めているアーティストなのです。
アーティスト、写真家として活動をすることになったきっかけは高校生の頃に父親にカメラをプレゼントされたことがきっかけだそうです。
このころは家族と一緒にどこかにでかけたり、遊びに行ったりする時に撮影をするだけだったそうです。
風景写真というよりは、ごくごく一般的なスナップ写真を撮影されていたそうで、その当時は「ロバート・メイプルソープ」の写真がとても好きだったそう。
彼も当時から男の人を堂々と撮影していたということから、大変そのことに勇気づけられ、そして自分も作品をつくりたいということで、カメラで男性を撮るきっかけになったそうです。
生涯一番の頑張りということで、アメリカの大学に進学をすることにしたそうです。
日本の美大にはあまり関心が持てず当時は「ひねくれていた」とのことです。
アメリカのデザイン学科に興味を持っていて、素材を写真で撮影しているうちに面白くなったそうです。
最初はキリスト教で成り立っていた世界や、英語ができないということから、なかなか馴染めない部分があり、しんどい経験もあったそうですが、その後写真にどんどん夢中になりデザインよりも写真撮影を中心に行うようになりました。
被写体は男性で、セルフポートレートという気持ちで撮影も行っています。
「同性愛などをテーマとして社会に訴えかけるような作品作り」をしたいと述べていて、非常に個性的なアーティストの一人となっています。
森栄喜さんが使用するカメラ・レンズ
森栄喜さんが使用しているカメラについて調べてみました。
Contax コンタックス T2
このカメラを使っているカメラマンとしても大変有名だそうです。
少々古いオールドカメラと呼ばれるようなカメラであり、発売されたのは今よりも20年ほど前のことになります。
1990年に発売されたモデルであり当時から今もライカと並ぶようなコンパクトフィルムカメラを代表するのが「京セラ Contax T2」なのです。
当時の定価は120,000円もするほどの高級機として知られていました。
作りとしてはチタンボディで作られているのが特徴です。また、絞り優先モードでのオート撮影が基本のカメラとなっています。
カラーはブラックや限定カラーのゴールド、シルバーなどのさまざまなカラーがあります。
レンズはカールツァイス ゾナーTスター30mm F2.8
このコンタックス T2に装着されているレンズが、ドイツメーカーのカールツァイスのゾナーTスター30mm F2.8になっています。
クールで優しい描写で撮影をすることが出来て、大変雰囲気のある撮影ができるとのことです。
フィルムでも装填もオートとなっていて、自動巻き取りも撮影後に可能で、どちらかというと、初心者でも使えるような安心できるカメラだそうです。
今では手に入らないのかというと、そういったことはなくオークションでも4~5万円程度で購入をすることが出来るということです。
また、35ミリフィルムで撮った写真が掲載されている雑誌などもあることから、基本的にそれほどすごい機材を使っているというわけではなく、持ち運びやすさ、そして手軽さなどを重視して機材やカメラを選んでいるという印象があります。
森栄喜さんは「ごく普通のカメラで普段の生活を撮っても、何か特別な一枚が写せるようになりたいです。」という風に、アサヒカメラの雑誌のインタビューで答えているということからも普段からごく普通のカメラを使うことをポリシーとしているそうです。
ごく普通のカメラで、そして普通な日常を撮影をするようにしていて、そして何か特別な作品になればいいと考えておられる、
そんなアーティストの一人です。
なので特別高級な特別なカメラ、そしてレンズや機材は必要ないと考えておられるのかもしれません。
「京セラ Contax T2」がさらに気になる方は「写真部部長カメラライフマガジン」で詳しく書かれていますので、読んでみてください。
森栄喜さんのインスタ・SNS
オフィシャルサイト
Instagram(#森栄喜)
オフィシャルサイトは簡素な感じであまり作品は掲載していませんが、NEWSでの講演やメディア情報はしっかりと紹介されていますので、森栄喜さんのイベントやメディア情報が知りたい方はチェックしておいた方が良いでしょう!
Facebook・Twitterともにオフィシャルのものがあり、こちらもメディア情報など頻度よく更新されていますが、内容としては同じものが多いので、どちらか普段自分が使い慣れている方のSNSでのチェックだけで漏れはなさそうかな、と思います。
そして残念ながらInstagramに関してはされていないようです。
ただ#タグの#森栄喜で投稿が451件あり、作品のワンシーンやプライベートショットっぽいものもちらほらあるので、見て損はないです!
森栄喜さんのインタビュー記事
出典:changefashion.net
CHANGE
IMA LIVING WITH PHOTOGRAPHY
森栄喜×小木戸利光 記憶・声・家族─写真家の眼差しの先にあるもの
AERAdot.
週間 読書人ウェブ
中日新聞web
森栄喜さんのインタビュー記事はネットで今も読めるものでも結構な数があります。
カメラマンのインタビューって専門雑誌のインタビュー記事はあっても、ネットではそこまで多くないものなんですが、森栄喜さんの場合はカメラを通して同性愛などの人権運動を行われているためかもしれません。
でもだからこそ、カメラってものが芸術的に表現するもの・広告的に表現するものだけではなく、自己の主張や活動、人権にまで踏み込める無限の存在だということに気付かされます。
もちろんそれを行う人がいてこそですが、カメラで自分の生き方を貫かれる様は格好良いものだと感じられます。
森栄喜さんの写真集や作品の紹介
森栄喜さんはパーソンズ美術大写真学科を卒業してから、さまざまな写真集・作品集を手がけられています。
またメディアでも作品が掲載されていたり、ページが割かれていることも非常に多いです。
それでは森栄喜さんの代表的な作品集を紹介していきます。
CROWS AND PEARLS
まずは2009年に「CROWS AND PEARLS」が販売されています。
写真家・森栄喜と小説家・小林小路によるコラボレーションブック。
16枚の写真カードの裏で小説が進行し、それらを翻訳家・山下賢司氏の英訳が記載された薄い包装紙が包み込むようになっています。
ちなみにアマゾンには売られておらず、他のサイトを見ても売り切れだったりするので、結構レアだと思います。
tokyo boy alone
また11年に「tokyo boy alone」(レボリューション・スター・パブリッシング)などが発売されています。
この2011年の作品については、自分のセルフポートレート的な意味合いが強く、他人を撮影しているものの、自分自身を投影したということをインタビューでも述べておられます。
また装丁枯らして尋常じゃなく高級な西洋の図鑑の素晴らしい出来で、もちろん中も贅沢で1点1点見応えがあり、これらのモデルの方達は森栄喜さん自らが出向いて撮影した方達だそうです
intimacy
また「intimacy」(ナナロク社)という作品も発売されています。
森栄喜さんの作品・写真についてですが、基本的には「男性」を被写体としており、同性愛、ゲイであるということを表明されているということもあり、社会に訴えかけるかのような作品に仕上がっているというのが特徴です。
Family Regained
こちらは最新作の「Family Regained」で、この写真集に収められている作品はどれも赤い。
タイトルの「Family Regained」は和訳すると「家族を取り戻す」
作品の中で「家族」が映し出されているが、そのどれもが本物の家族ではない。
同性愛という「異質」と思われてします現代に対して、真っ赤な「異質」な世界の写真の中で溶け込む。
森栄喜さん曰く、写真を赤く染めた理由は「家族というものを撮ろうと思ったとき、その世界が僕の目の前にはなかったから」
自分が持って生まれた性に対して、世間に自分に、そしてそれでもといった表現をされている興味深い作品となっています。
OSSU
また「男」をテーマにした冊子「OSSU」なども発行しています。
こちらは、写真家や画家、ファッションデザイナーの仲間とつくりそして発行されています。
男性を被写体としている作品・写真が中心となっていますが、作品ごとに、その雰囲気だったり、テーマなどが少々異なっているのが、森栄喜さんというアーティストの作品の特徴となっています。
写真としては、若く美しい男性たちが被写体となっていて、そしていわゆるファッションスナップというものではなく、あくまでも日常生活を映し出しているという特徴があります。
作品は、どれも男性たちの日常を映し出しているのが特徴で、気取りのない表情が写し出されています。それはほとんど素の表情となっています。
オンラインショップで販売されていますが、今はどれも在庫切れで売り切れのようです。
森栄喜さんまとめ
静寂な空気感が特徴で、日常を切り取ってみせることがとても上手なアーティストとして、森栄喜さんの作品は人気がります。
男性の被写体の写真となると、どうしてもスキャンダルな方向をイメージしてしまうのですが、そういった印象は全く無く、とても美しく、そして繊細であっさりとしているというのが大きな魅力となっています。
あくまで日常の延長線上、そして、男性のヌードをとらえているのが特徴であり、その軽やかさが反響を呼んでいます。
私はカメラで自分の主張する何かのために写真を撮ることは今までなかったのですが、そうやってただ撮るのではなく、何がために表現するか?
そんなことを考えて撮影するのも良いなと思えた森栄喜さんでした!