ユニクロやサントリーなど超有名企業の広告写真やCM、一流アーティストのCDジェケットなど数多くの広告写真を手がける滝本幹也さん。
「人の心に残る写真」を手がける写真家として、どんなカメラを使用して写真集や作品を作りだすのか気になるところです。
そんな滝本幹也さんのwikiにはないプロフィールについてリサーチしてみたいと思います。
瀧本幹也とは
滝本 幹也(たきもと みきや) 1974年ー44歳
高校中退ー写真館に勤務ー東京のフォトスタジオにてカメラアシスタントー1994年 藤井保に師事ー1998年滝本幹也写真事務所設立
瀧本幹也さんは1974年生まれの44歳の男性です。名古屋で生まれてどこにでもいるような少年としてみんなと同じような生活を送っていました。
カメラは昔から興味があり、好きなものがあればとにかく写真を撮っていたようです。
写真を撮る楽しさを覚えた少年は、自分の好きなことが分かりながらも仕事にするというところまでは考えずに進学していきます。
しかし転機は高校在学中に訪れます。
高校で学ぶ勉強内容に興味が持てずに何となく退学してしまいます。
当時は絶対にプロのカメラマンで成功してやるという強い気持ちがあった訳ではなく、漠然とカメラの勉強をしたいと考える程度だったそうです。
学校を辞めた後はフラフラしていても仕方がないので興味があったカメラの仕事をするようになります。
地元の写真館で仕事をしながらカメラの基本的な知識や技術を学びます。
そして17歳という若さで地元を飛び出し東京で修行する決心をします。
普通の17歳はまだまだ子どもで、一人で大都会に行ってチャレンジする勇気がある人は少ないです。
それでも瀧本幹也さんカメラのことを本格的に学びたいと考えて、あえて厳しいチャレンジをします。
まわりから見ると無謀なチャレンジに見えたかもしれませんが、好きなことに夢中になれる喜びと楽しさでまわりの雑音は一切聞こえなくなったようです。
カメラマンとして駆け出しの時代は毎日基本的な仕事をこなし、今の土台となる大切な経験を積んだと本人が語っています。
基礎を身につけるのと同時に、今の自分の立ち位置を把握することができたとも語っています。
自分が伝えたいこと、世間が自分に期待するものは何なのか自問自答する時間でもあったようです。
瀧本幹也さんがプロのカメラマンとして一番大切にしていることは「楽しむこと」です。
自分が楽しくないと見ている人には伝わらないという考えがあり、撮影現場では自分から撮影を楽しむように心掛けているそうです。
瀧本幹也さんは柔軟性があり、仕事の依頼に対して臨機応変に対応できるタイプです。
自分で仕事を選んで自分のペースや雰囲気で撮影を進めていくプロカメラマンもたくさんいますが、瀧本幹也さんは相手のペースや雰囲気に合わせて良い写真を撮影していくというスタイルです。
カメラマンとして仕事をしているときの瀧本幹也さんは、子どもの頃の写真を撮る楽しさを忘れていないのです。
瀧本幹也さんは自分の根本にある「楽しむこと」という気持ちを大切にしているカメラマンです。
瀧本幹也さんが使用するカメラや機材
瀧本幹也さんの父親は電化製品が好きな方で、最新の電化製品などが販売されるとすぐに購入してくる人物だったようです。
その影響もあり瀧本幹也さんは小学生時代にすでに8ミリカメラ、一眼レフのカメラを使っていました。
使用するカメラに強いこだわりを持つというよりは被写体や雰囲気、アイデアに合わせてカメラや機材を変えていくスタイルのようです。
主に使うのはライカの35mmカメラ、フィルムはKODAK PORTRAをよく使うようです。
ライカの35mmカメラはフィルムカメラが好きな人にとっては憧れのもので、いつかは欲しいと考えている人がたくさんいます。
瀧本幹也さんが使用するのはレンジファインダーカメラのM型ライカで最高峰の性能を持ったカメラです。
LEICA ライカ M4
現在ではLEICAのMシリーズは「LEICA M10」までありますが、それでも中古価格で10万以上の金額で販売されている代物。
LEICA ライカ M6
こちらも「LEICA M4」と同じフォルムカメラの「LEICA M6」
LEICA ライカ MP
M型ライカは「LEICA M8」からデジタルカメラに移行していますが、ライカは今も並行してフィルムカメラも作り続けています。
その本来のフィルムカメラとしてのM型ライカを継承しているのが「LEICA MP」です。
現行品は100万を超える超高額カメラとしても有名です。
いくつものライカを所有し使っている瀧本幹也さんですが、今でもライカで撮影する時には緊張感があり「自分が試されている」気持ちになり、背筋がピンと伸びるような面持ちで撮影されているとのこと。
また所持されているレンズは
Leica Summilux ライカ ズミルックス 50mm
旧型の「LEICA SUMMILUX 50mm」を使用されていて、開放で柔らかな描写に定評があります。LEICA Hektor ライカ ヘクトール 135mm
かなり古い時代のレンズですが、生産数も多かったたけ現在でも見かけることのある「LEICA Hektor ライカ ヘクトール 135mm」
あまりF値は高くないF4.5で、ライカレンズの中では比較的に安い部類のレンズでもあります。
Leica 電子ビューファインダー ライカ ビゾフレックス
瀧本幹也さんは撮影レンズの画像をそのままファインダーで覗くことのできる「ビゾフレックス」と合わせて、一眼レフ的な感じで使用されるそうです。
LEICA SUMMICRON ライカ ズミクロン 35mm
そのほかにも「LEICA SUMMICRON 35mm」の旧型も使用されています。
カメラはライカのものでもフィルムカメラを使用され、レンズに関して言えばそのほとんどが古い旧型のものです。
フィルムカメラを使用していることからも、やはりその当時のそのカメラの為に作られたレンズを合わせるのがこだわりなようです。
KODAK PORTRA カラーネガティブフィルム 35mm
次に「KODAK PORTRA」のフィルムですが、これは鮮やかな色彩を忠実に再現することが出来るので多くのカメラマンが愛用しているフィルムの一つです。
瀧本幹也さんの仕事は写真だけではなく映画やCMという映像の仕事も多くあります。なのでまったく同じカメラ、機材で臨む現場というのは意外と少ないです。
瀧本幹也さんの有名な作品の一つである「SIGHTSEEING」という写真集では、フォーマットは4×5のカラーネガフィルムを使用していて、風景の美しさを独自の感性で上手く演出しています。
ネガフィルムは管理が難しく、撮影前後や現像前後でも簡単に変質してしまうという特徴を持っています。
管理が大変な分、自分の狙い通りの色を出しやすくネガフィルムにこだわりを持って撮影するプロカメラマンも多く瀧本幹也さんはその代表格で、ネガフィルムを使った作品が多いのも特徴です。
瀧本幹也さんのHP・SNS
インタビューなどのメディアでの露出はあるものの、あまりSNS関係での情報は少ない滝本幹也さん。
そんな数少ない滝本幹也さんの情報が知れるサイトをご紹介します。
オフィシャルサイト
滝本幹也:MIKIYA TAKIMOTO PHOTOGRAPH OFFICE
一見してシンプルな作りのオフィシャルサイトですが、右上のタブをクリックすると過去作品の名称がずらっと画面に並ぶので、さらにクリックすると作品を見ることができます。
味のある美しい写真がいくつも掲載されていて、一度見てしまうとついつい魅入ってしまいます。
唯一SNSで更新されているのがTwitterです。
Twitterでは最近手掛けたCMや広告の作品紹介から写真展の情報まで発信されていますので、滝本幹也さんの動向が気になる方は、まずTwitterをチェックするのが一番だと思います!
瀧本幹也さんの広告作品
実際にどんな広告写真やCMを手掛けれているかも気になるところだと思います。
「これも手掛けていたのか」と見たらすぐに思い出す超有名な作品をいくつはご紹介します。
サントリー天然水 2017年 (宇多田ヒカル)
カロリーメイト 2014年 (満島ひかり)
大和ハウス工業 2012年 (深津絵里 リリーフランキー)
大河ドラマ 龍馬伝 2009年 (福山雅治)
一部紹介しただけでも、その凄さがわかるビックネームの数々ではないでしょうか!
記憶に新しい宇多田ヒカルのサントリー天然水も印象的でしたし、もう10年前になるかとその色褪せない魅力の龍馬伝まで錚々たる顔ぶれ。
凄すぎます。。
瀧本幹也さんの写真集
瀧本幹也さんの写真集はセンスを感じるものが多く、表紙を見ただけ心をつかまれるような爆発力を持った作品が多くあります。
SIGHTSEEING
写真だからこそ出来る色彩の美しさ、コントラストなどがあり映像を超える美しさというものに気が付くことができた作品です。
海街diary
瀧本幹也さんは映画監督である是枝裕和さんの作品の撮影を担当することが多く「写真集 海街diary」では映画の中には収まりきらなかったキャストの姿を見ることができます。
海の青さとキャスト方の笑顔が重なった写真は非常に美しいです。
海沿いの街の美しさと寂しさのようなものも見事に表現されていて、素晴らしい作品だと思います。
CROSSOVER
写真の仕事からキャリアをスタートさせた瀧本幹也さんですが、CMや映像の仕事もたくさんこなしています。
『海街diary』では第39回日本アカデミー賞最優秀撮影賞という国内最高峰の賞を受賞していて『三度目の殺人』でも第41回日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞しています。
これらの経験が詰まった作品が「CROSSOVER」なので、瀧本幹也さんのファンであれば必ず購入した方が良いです。
価格以上の価値があり見応えも抜群です。
自宅ですぐに手に取れるようなところに置いておきたい素晴らしい写真集です。
瀧本幹也さんの写真展
2018年には多くの写真展を開催されており、今後も写真展の開催が期待されます。
「CROSSOVER」
2018年2月23日(金)~3月14日(水)までラフォーレミュージアム原宿開催された大型個『CROSSOVER』
広告・作品・CM・映画の滝本幹也さんが手がける4つのジャンルをクロスオーバーさせた写真が約400点展示された写真展。
個展が開催されている期間中は瀧本幹也さんが直接作品の解説、その時のエピソードなどを話されていました。
作品からメッセージを汲み取るのも良いですが、作者から直接メッセージを聞く機会はほとんどないので貴重な経験ができます。
是枝裕和さんをゲストとして呼んだトークイベントもありこちらも大盛況で、カメラマンとしての心構え、写真と映像の違い、CM撮影で気を使うポイントなどを話されており興味深い内容数々。
イベント会場ではオリジナルのグッズや、過去の写真集なども販売されていました。
déformation
2018年10月31日〜11月24日までMA2 Galleryで行われた最新の個展で「déformation」では、建築と自然という新しいテーマで作品を作り上げていて新しい世界観を表現されています。
こちらは『CROSSOVER』とは違う、今までの広告作品の延長線上のものではなく、それでいてオリジナリティ溢れる切り口と表現された写真展。
紹介した2つの写真展だけでも、滝本幹也さんの感性を感じられながらまた違うニュアンスの写真が見られるものとなっていることからも、今後の写真展にも期待が膨らみます。
滝本幹也さんまとめ
知れば知るほどその魅力と凄さがわかる滝本幹也さん。
それはその根本には「楽しむこと」を忘れず、ライカのカメラで背筋をピンと伸ばす気持ちで真摯にカメラにずっと向き合われているからこそ成せることなのだと思います。
ここまでの仕事をこなしても奢らず精力的に写真展も開催されているので、次の写真展の際には是非見に行きたいと思います。