東京スカイツリーから見下ろす絶景。
カメラを持っているならぜひとも写真に抑えたいものです。
しかし、問題は目の前のガラスです。
ガラス越しにそのまま撮すと照明が反射して残念な夜景写真になってしまいます。
ガラス越し撮影時の映り込みを回避するテクニックをみていきましょう。
ガラスは常に反射している
ガラス越し撮影の映り込みについて話をする前に、前提として知っておきたい知識を整理しましょう。
当然ですがガラスに当たった光は常に一定量反射しています。
ただし、昼間などはガラスの反対から透過してくる光が強いので反射した光はそこまで目立ちません。
しかし、夜になると屋外は暗くなり、外から透過してくる光が少なくなるので、夜景撮影では光の反射が目立つようになるのです。
特に夜景撮影では屋内の蛍光灯などの強い光源が反射して映り込んでしまい目立ってしまうので厄介になります。
今すぐできる映り込み回避テクニック
最も簡単に映り込みをなくす撮影テクニックはガラス面にピッタリくっついて撮影をすることです。
ガラスにレンズをくっつけてしまえばレンズとガラスの間に入ってくる光が少なくなるので映り込みも少なくなります。
とりあえず、何も準備せずにビルの上階で綺麗な夜景を見つけたときなどは、この方法で撮影してみましょう。
ただし、この方法はデメリットも多くなります。
まず、ガラスとレンズを密着させるのはリスクがあるということです。
ガラスとレンズを密着させれば、前玉が汚れたり傷ついてしまう危険があります。
かといって、ちょっとでも離す光が入り込み映り込むこともあります。
さらに、密着させるということは構図の自由度が下がります。
カメラとガラスを平行にしなくてはならないので、カメラを自由な角度で構えることができません。
構図はガラス面の角度に依存することになります。
応急的には使える方法なので、頭の片隅に覚えておくといざという時に役に立ちます。
便利な映り込み回避アイテム
レンズをガラスに密着させるという撮影方法は、そのデメリットを考えると応急処置的対応といえます。
たまたま夜に部屋の中からキレイな景色を見つけて撮影したい場合などは、準備もできないので密着させるくらいしか方法はないかもしれません。
しかし、事前に夜景撮影をガラス越しにするということがわかっているのならば、便利アイテムを使って回避する方が合理的です。
映り込み回避アイテムの仕組みは簡単です。
ガラス面とレンズの間の光をカットしてしまうのです。
具体的なアイテムとしては、暗幕をガラスとレンズの間に張るものと、大きなシリコンのレンズフード状のモノでガラスに密着して撮影するアイテムがあります。
レンズスカート
自作映り込み回避アイテム
販売されている映り込みを回避アイテム、値段が高いと思った方はいませんか?
確かに使い勝手もよく、持ち運びも便利に作られていますが、年に1、2回しか使わないのであれば、わざわざ買うにはちょっと高い感じもしますね。
そんなときは自作しましょう。
要はレンズとガラスの間に光を遮断するフードができればよいのです。
一番簡単な方法は、黒い布を買ってきて、パーマセルテープなどでガラスとレンズに固定してしまう方法です。
ただし、この方法ではガラスにテープを貼るのでその場所を管理している人に怒られる可能性があります。
そういった可能性を考慮すると吸盤などで固定できるように布の端にとりつけておくという方法もあります。
これだけの細工であれば100均ですべてを揃えることができますが、ちょっと工作が面倒くさそうです。
100均にはもっと便利なアイテムもあります。
それはケーキのシリコン型です。
これに穴を開けてレンズフードにくっつけるだけで、簡易シリコンフードの完成です。
市販品に利便性は劣りますが、100円で出来るのでコスパは最高です。
簡易シリコンフードの作り方
材料はケーキ用シリコン型、マスキングテープ、カッター、レンズフード、グルーガン。
グルーガンの代わりにシリコン接着剤などでも可。
シリコン型の底に、レンズフードと合う大きさの穴をあけます。
レンズフードには接着後にも剥がせるようにマスキングテープを貼っておくと後で剥がすだけで元通りに出来ます。
あとはレンズフードとシリコン型をグルーガンで接着するだけです。
額撮影の映り込み回避テクニック
映り込みというと、ガラス越しに夜景を撮影したときのことが真っ先に思い浮かびますが、額に入った絵やショーウィンドウなどを撮影するときも厄介な存在になります。
額に入った絵を撮影するときは、夜景撮影の様にガラスに密着したり、大きな覆いを使うということもできません。
その場合は、傘などを使ってガラス面に映り込む光源をシャットアウトするという方法があります。
1人で扱える傘には限界があるので、協力者が必要な方法ではあります。
額装品の商品撮影をする場合などは、三脚などに傘を固定して天井の照明が映り込まないようにすることもあります。
鏡面の映り込み回避テクニック
最後に鏡面の映り込みについても解説しておきます。
鏡を正面から映すとどうなるでしょう?
当然ですが鏡に撮影者が写ってしまいます。
鏡面仕上げされた金属などでも撮影者が映り込んでしまうことがあります。
もちろん映り込まない角度で撮影することもできますが、どうしても正面の構図が必要な場合などはティルトシフトレンズを使います。
ティルトシフトレンズを使うことで、撮影者が正面からズレて撮影できるので正面から見た鏡の写真でも撮影者が映り込むことがなくなります。
多少の映り込みは加工で
公共スペースでの撮影の場合、あまり大きな機材は使えませんし、長時間場所を専有できないときもあります。
綺麗な写真を撮りたい一心なのはわかりますが、周囲の状況が見えなくなっていては「エゴだよそれは!」と某ロボットアニメの赤い人の様に怒られてしまうでしょう。
特に夜景スポットは多くの人が夜景を楽しみに集まっていることもあるので、周囲に気を配って短時間で撮影することが大切です。
多少の映り込みは現像ソフトのゴミ取り機能などで消すことができます。
特別に撮影を請け負ったわけではなければ、映り込みに神経質にならずに、むしろ周囲の視線に神経を尖らせましょう。
映り込み対策機能は完成するのか
大掛かりな対策をしないとなかなか完璧に消すことができない映り込みですが、将来的には自動でカメラが映り込みを判断して消してくれるかもしれません。
現在、カメラに搭載可能な映り込み対策機能の開発が進んでいます。
その理論としては、少し角度をズラして複数の画像を撮影することで、ガラスの映り込みを特定して消すというものです。
カメラを固定したまま、カメラ内手ブレ補正の機構を応用してイメージセンサーを少しズラして撮影するという方法は、ハイレゾ撮影としてPanasonicが既にカメラに実装しているので、理論的には今のカメラにも搭載できそうです。
カメラに映り込み防止機能が搭載されるのはもう少し先になりそうですが、そんな機能がなくても比較的簡単な方法でガラスの映り込みは回避することができます。
夜景を高い建物の中から見下ろす機会があったら、ガラス越し撮影時の映り込みを回避して素敵な夜景を撮影してみましょう。