運動会撮影は、いくら高級カメラを手に入れたとしてもシャッターチャンスを逃してしまっては意味がありません。
シャッターチャンスを逃さない運動会撮影テクニックやカメラの設定についてみていきましょう。
プログラムは頭に入れておく
運動会撮影を成功させるために最も大切なことが、プログラムを頭に入れておくということです。
我が子が登場する順番、位置などを細かく頭に入れておく必要があります。
単にプログラムの順番を頭に入れるのではなく、入場行進の順番や整列位置、徒競走の出走順、ダンスのフォーメーションなど、グラウンドの中を我が子がどのように動くのかということを事前に聞き出しておきます。
そして撮影ポジションをシミュレーションしておけば、当日、カメラを持った人の流れに流されて右往左往することもなくなります。
また、プログラムを頭に入れておくことで、競技中以外でも自分の子供が入場門付近にいるのか、応援席にいるのかを把握できるのでオフショットも狙いやすくなります。
運動会撮影では、競技中の真剣な眼差しを撮らなくてはいけませんが、それ以外のオフショットも撮るようにすることで様々な表情の写真を撮ることができます。
撮影ポジション争いを制する
運動会の中でも花形の徒競走は特に激しい撮影ポジション争いが起こります。
ゴール前はかなりの人混みとなります。
開会式の直後などに行われることが多い徒競走では、開会式の最中から徒競走のベストポジションを探して陣取るようにすると、最前列で撮影できます。
徒競走の撮影ポジション
運動会撮影では徒競走の撮影成否が全体の評価に大きく関わってきます。
徒競走撮影の基本は、ゴール正面に陣取り、駆け込んでくる我が子を連写で抑えるという撮影方法です。
ただし、ゴールは一瞬の出来事なので失敗のリスクはゼロではありません。
ゴールだけに集中するのではなく、スタートやコーナーを走る姿なども望遠で押さえておくと良いでしょう。
特にスタートは止まっているので失敗も少なく撮影できます。
直線コースの場合は、スタート前からしっかり狙うようにしましょう。
その上で、ゴールに近づいてきたら一気にズームリングを回してゴール前の画角に合わせ、ピントを我が子にAF追従させて連写すれば、最悪ゴールシーンがなくても徒競走写真は格好がつきます。
トラックの周回コースの場合はゴール前からではスタートは思うようには撮影できませんが、コーナリングなどは躍動感ある写真が狙えるので、しっかり抑えておきましょう。
徒競走撮影は数秒のことなので、我が子の出走前に他の子供を撮影して、何度も練習しておくことが大切です。
もし、我が子が第一走者の場合は、最低でもゴールの瞬間にどの程度ズームリングを回して、どのくらいの画角にするかをスタート前にチェックしておくと失敗は少なくなります。
カメラの設定
一眼カメラに慣れていない場合は、カメラの設定はオートで撮影してしまった方が良い写真が撮れます。
入門機の場合、運動会向けのモード、スポーツモードなどがあるので基本的には自分であれこれ設定するよりもカメラを信頼した方が間違いありません。
入門機とキットレンズの組み合わせであればカメラ任せに撮影しても問題なく撮影できます。
普段カメラの設定を変更せずに撮影しているのに、運動会で特別な設定にすると、逆光や曇りで露出が変わったり、ズームしたときに設定が変わってしまうことがあり、失敗の原因となります。
望遠レンズ撮影の設定
ある程度、一眼カメラの扱いに慣れていて、F値やシャッタースピードを変えて撮影した経験があるなら、自分でベストな設定にしても良いでしょう。
望遠レンズで撮影する場合に設定で気を付けることはF値です。
望遠レンズは大きくボケるという特徴があります。
一眼カメラの撮影では、背景を大きくボカしたいので絞り優先モードなどでF値を開放F値にして撮影しがちですが、望遠レンズでも同じように開放で撮影すると、ピンボケ写真が量産されることもあります。
特に動いている被写体を撮影するときは、AFが若干遅れるだけでもピンボケしてしまうことがあります。
F値は少し大きめにして被写界深度を深めにして、ピントの合う範囲を広くするということがポイントです。
一方で、運動会撮影では動く子供の表情をとらえるためにシャッタースピードもなるべく速くしたいという要求もあります。
シャッタースピードを速くすることで一瞬の表情をピタッと止めて撮影することができます。
F値を大きくして、シャッタースピード速くするとカメラ内に入ってくる光の量が減り、写真が暗くなりがちなのでISO感度を大きくして明るくする必要があります。
すると今度はISO感度が高くなることでノイズの心配が出てきます。
運動会撮影では、望遠レンズに合わせた絞りと、動く被写体に合わせたシャッタースピード、ノイズの出ないISO感度という3つの条件が噛み合った設定になります。
レンズの焦点距離が250㎜くらいなら絞りはF5.6など、レンズの1番明るい絞り、開放でも被写界深度は問題なく、シャッタースピードを1/1000くらいで動きを止めても、晴天ならISO100で撮影できます。
400㎜くらいの超望遠レンズの場合はF7.1くらいまで絞ってあげると、被写界深度が深くなり子供の全身にピントを合わせやすくなります。
F7.1でシャッタースピードを1/1000にすると曇りのときなどにISO感度が上がりやすくなるので、ISOオートにした場合はこまめにISO感度を確認して、場合によっては絞りを開けたり、シャッタースピードを遅くする必要があります。
事前にAFのクセは理解しておく
運動会撮影では動く子供を撮影するためにAF追従モードがよく使われます。
メーカーによってAF-C、コンティニュアスAFなどと呼ばれて、AFが動く被写体に合わせてピントを動かし続けてくれる便利機能です。
しかし、AF追従は常に正確に被写体を追いかけてくれるわけではなく、時折、他の被写体にピントが移動したり追従できなくなることもあります。
どういった状況になるとAFが外れやすくなるのか、どういった操作で外れたAFを戻せるかということを運動会撮影前に確認しておきましょう。
親指AFはかなり武器になる
入門機には搭載されていないこともありますが、一眼カメラには右手親指の位置あたりにAFボタンがあります。
このボタンでAFを開始させるには事前にカメラメニューのボタンカスタムで設定することが必要ですが、親指ボタンにAFを割り当てると運動会撮影ではかなり捗ります。
親指ボタンにAFを割り当て、AF追従モードにしておくと、親指ボタンを押し続けることでAF追従ができ、AFが追いきれないときは親指ボタンを押しなおせばAFがピントを合わせなおしてくれます。
半押しでも同じ動作はできますが、人差し指は常にシャッター半押しでAEをさせといて親指でAFを修正させてシャッターを押した方が、シャッター半押しから一度離して半押ししなおすよりもワンテンポ速く撮影できます。
また親指AFは追従モードのままでも親指を離すとAFが固定されるのでワンショットAFとして機能させることもできます。
つまりAFモードを切り替える必要がなくなります。
運動会撮影でAFモードの切り替えが必要なくなる親指AFはかなりメリットがあります。
ただし、ボタンカスタムを変更すると、操作の慣れも必要なので事前に他の撮影で指を慣らしておく必要があります。
レンズのクセも理解しておく
同じく、レンズのクセも理解しておく必要があります。
望遠レンズはピントがかなりシビアになります。
広角撮影では気づかないようなAFのちょっとしたズレでも解像感の低い写真になってしまいます。
一眼カメラにはマイクロアジャストメント機能といって、レンズごとにピント位置の微調整ができる機能があります。
レンズは製造誤差がカメラの個体差と相まって微妙にAFが前ピン、後ピンになることがあります。
特に望遠レンズではそういった症状が出やすいので、マイクロアジャストメントで調整しておくようにしましょう。
また、運動会撮影では、ゴール正面で徒競走を撮影するときに、少しだけ前ピンぎみにしてあげると、子供の胸あたりでピントを合わせたときに顔にガチピンをもってくることができます。
レンズのクセを理解しておくとこういったピントの微調整もできます。
また、焦点距離による被写界深度の変化も合わせて確認しておくと、運動会当日にF値の設定で迷うこともなくなります。
カメラやレンズは説明書やスペック表には書かれていない機種ごとのクセがあります。
クセは実際に撮影しないとなかなかわからないものなので、当日慌てなくて良い様に運動会で使うカメラには慣れ親しんでおくことが大切です。