一眼カメラを使いはじめて、最初に躓くポイントとなるのがセンサーサイズではないでしょうか。
一般的にカメラの性能は画素数で判別したりもしますが、画素数とセンサーサイズはどう違うのでしょう。
カメラの最重要部品とも言える撮像素子について解説します。
撮像素子とは?
デジタルカメラはレンズを通った光を電気信号に変えてデジタル画像データを作り出しています。
その、光を電気信号に変える部品こそが撮像素子です。
撮像素子は画像センサー、イメージセンサーなどとも呼ばれます。
撮像素子の仕組み
撮像素子は、受光素子、フォトダイオードと呼ばれる小さなセンサーの集合体です。
受光素子は光が当たると、その光の強さに比例した電流を流します。
その電流を画像エンジンが処理して画像とすることでデジタル写真ができあがります。
受光素子は光の強さに応じて反応するので、光の色は判別できません。
そのため、受光素子の前にはフィルターがあり、光の三原色である赤、緑、青のいずれか1色の強弱を判別します。
画像エンジンは1つの受光素子から得られた1つの色の強弱と、その受光素子の周囲の別の2色の強弱を参考にして1つの画素の色を決定しています。
そのため、1つの受光素子では1つの色しか判別していませんが、1画素は1つの受光素子とその周囲の受光素子から作るので画素数については受光素子の数とほぼ一致します。
ちなみに、光を電気信号に変えるのはフォトダイオードですが、電気信号を光と変えるのは発光ダイオードです。
発光ダイオードはいわゆるLEDのことで、LEDは撮影素子の真逆の方法で光を生み出しています。
センサーサイズと画素数
デジタル一眼のセンサーサイズは、フィルムカメラ時代のフィルムサイズを元として、中判サイズ、フルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズというサイズがあります。
デジタル一眼以外では、コンパクトデジタルカメラは1型や1/2.3型というサイズが使われます。
スマホも1/2.3型程度の大きさがよく使われます。
それぞれの大きさはAPS-Cを基準とした面積比で表すと、フルサイズは約2.3倍、1/2.3型は1/10以下の面積となります。
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画素数とセンサーサイズは関係ありません。
センサーサイズが大きいからといって必ずしも高画素であるというわけではありません。
今やスマホはデジタル一眼に迫る画素数となっていることからもそのことはわかるかと思います。
先程も言ったように画素数が影響するのは受光素子の数です。
2000万画素のカメラはフルサイズでもAPS-Cでもスマホカメラでも撮像素子には2000万のフォトダイオードが並んでいます。
APS-Cは23.6×15.8mmという大きさですが、この中に2000万の受光素子を並べているということも驚きですが、1/2.3型の6.2×4.7mmという大きさに同数の受光素子を並べているということは更に驚愕です。
センサーサイズで画質はどう変わる?
では、センサーサイズは画質にどの様な影響を与えるのでしょう。
「画質」というのは写真が「綺麗かどうか」という抽象的なものなので数字化などはできませんが、センサーサイズが画質に与える影響については具体的に説明がつくものもあります。
階調性
センサーサイズが大きくなると、より大きいレンズを使って光を集めることができます。
また、同じ画素数であれば1つ1つの受光素子はセンサーサイズに合わせて大きくなります。
これによって、光の強さの小さな違いまで受光素子が感知できます。
すると、スマホのセンサーサイズでは真っ黒な影に見える部分でも、フルサイズセンサーであれば、影の中の細かい黒の違いも描写できます。
これは影以外の部分でも言えることで、センサーサイズが大きいほうがより色や光の強弱を細かい段階で描ける「階調豊かな」写真になります。
暗所ノイズ耐性
撮影素子は、暗い場所ではごく僅かな電気信号しか画像エンジンに送ることはできません。
そこで、電気信号を増幅して処理するのですが、このときにノイズが発生します。
電気信号の増幅についてはデジタル一眼ではISO感度という設定で行います。
ISO感度をあげすぎると写真はザラザラとした質感になります。
センサーサイズが大きければ、センサーに当たる光も多くなるのでISO感度を下げることができ、暗い場所での撮影でもノイズは発生しにくくなります。
シャープな描画
階調豊かであるということは、シャープな描画を生み出します。
シャープな描画とは、輪郭がはっきりしているということです。
シャープな描画や豊かな階調など、センサーサイズが大きくなればなるほど高画質を生み出すために必要な高い描画力が得られるということが言えます。
センサーサイズが大きいとボケる?望遠はAPS-C?
センサーサイズが変わると画角が変わります。
レンズの焦点距離が同じであれば、センサーサイズが大きいほど広い範囲が写ります。
つまり、画角は広くなります。
画角が広くなるということは、同じ距離で撮影すると写真の大きさが同じであれば被写体はセンサーサイズが大きいほど広い範囲が写っているのでメインの被写体は相対的に小さくなります。
つまり望遠レンズで撮影したときの倍率は小さくなります。
APS-Cがフルサイズよりも望遠に強いと言われるのはこのためです。
ボケについてもセンサーサイズの違いがよく言われますが、実はボケ量はセンサーサイズが原因では変わりません。
画角が変わることで、大きくボケている様に見えるだけで、被写体との距離を同じにしてフルサイズの写真をAPS-Cと同じ画角にトリミングすればボケ方は同じになります。
被写体との距離を変えて、同じ大きさになるように撮影すれば結果的にはボケ量は大きくなるので、センサーサイズが大きくなれば大きくボケるということは間違いではありません。
まとめ
- 撮影素子は撮像素子、イメージセンサーとも呼ばれるデジカメの心臓部
- 画素数は受光素子の数
- センサーサイズが大きいほど、階調豊かでシャープな写真が撮れる
センサーサイズが大きくなるほど、より細かい情報を持った写真を撮影することができます。
スマホよりデジタル一眼、APS-Cよりフルサイズとセンサーサイズの面積は数倍となり、その分、階調豊かになり、暗所耐性も向上します。
より高画質な写真を求めるのであれば、センサーサイズは重要なファクターとなります。