どんどん高画素化、高解像度化されるデジタルカメラ。
見た景色を見たままに切り取れるという魅力もありますが、逆に言うとあれもこれも詳細に写りすぎてしまうということもあります。
トイカメラはチープな作り故に、低画質な写真ですが、そこにはトイカメラでしか撮れない味わい深さが表現されます。
トイカメラの魅力やデジタル一眼写真をトイカメラ風に加工する簡単な方法をみていきましょう。
トイカメラとは
トイカメラは、文字通りおもちゃのカメラです。
基本的にカメラはフィルムやイメージセンサーにレンズを通った光がしっかり結像できれば写真を撮ることができます。
本格的なカメラはAFといったピント自動調整機能はもちろんのこと、ズームや手ブレ補正、その他の撮影補助機能、そして何よりも高画質を実現するために高い精度で制作されています。
多機能、高精度な分、カメラはどうしても高価なものになってしまいますが、トイカメラは撮像面に結像するだけのシンプルなカメラなので、数千円という子供のおもちゃとしても使えるような価格となっています。
また、シンプルな作りのオールドカメラもトイカメラに分類されたりもします。
古いカメラの中にはトイカメラ同様にシンプルな作りのものが多く、撮影される写真もピントが甘いものなど、独特の雰囲気があります。
トイカメラの特徴
トイカメラはシンプルなカメラなのでシャッターボタンを押すだけで撮影できます。
手ブレ補正はもちろん、ピント調整機構もないものが多く、撮影時は自分で前後に動いて撮影します。
また、外装はプラスチックなどでコストダウンされていて、工作精度も低いのでピントの甘い写真となります。
その他にも、周辺減光や色かぶり、色収差や歪曲収差など、通常のカメラではなるべく抑えるように補正されている現象も盛大に出ます。
トイカメラではそれらの低画質感を味として表現します。
低画質だからこそ、トイカメラでしか撮れない写真となります。
シンプルなオールドカメラでの撮影も同じ様に周辺減光や色かぶり、ピントの甘さなどが出た味のある写真がとれるものもあり、トイカメラ同様に使われたりします。
トイカメラの価格は2000円程度から、ビンテージのプレミアがつくと10万円近くのものまで幅広くありますが、基本的にチープな作りで壊れやすいのでデジタル一眼の様な堅牢さは期待してはいけません。
シャッター耐久も低いので数回の撮影で壊れてしまうこともありますが、そこはご愛嬌と考えましょう。
トイカメラの種類
トイカメラにはいくつかの種類があります。
フィルムトイカメラ
フィルムを使ったトイカメラははデジカメ全盛となる以前はよく見られました。
デジタルカメラとは違い、イメージセンサーなど電子部品が必要ないので簡単なメカでかなり安価に制作販売されていました。
フィルム時代のトイカメラと言えば、110カートリッジというフィルムカートリッジを使った小さなカメラがよく販売されていました。
もちろん、一般的な35mmフィルムのトイカメラも販売されています。
110カートリッジカメラの方がよりトイカメラ然とした写真となりますが、カートリッジの入手性や現像のことを考えると35mmフィルムの方が昨今のフィルムカメラ事情を考えると使いやすいでしょう。
中古のフィルムカメラは、ビンテージカメラの味わいもあり、デジタルカメラでは味わえない楽しさがあります。
チェキトイカメラ
手軽なポラロイドカメラ、チェキのトイカメラもあります。
トイカメラの中では現像の手間もなく、デジカメの様にパソコンやスマホに取り込む必要もないので最も手軽なトイカメラといえます。
昨今のチェキ人気もあり、フィルムの入手性も良いので、カメラ初心者でも安心して使うことができます。
デジタルトイカメラ
昨今は、イメージセンサーの価格も安価となり、数千円でデジタルトイカメラも製造販売出来るようになりました。
どちらかというと、子供向けデジタルカメラといった感が強く、いわゆるトイカメラ風な写真とならないものもありますが、フィルムトイカメラ風の写真が撮れる大人向けのデジタルトイカメラもあります。
トイカメラ風の写真が目的の場合は、そういったフィルムトイカメラ風の写真が撮れるものを選ぶと良いでしょう。
ただし、トイカメラ風の写真を撮りたいだけであれば、後述のスマホアプリを使ったり、後加工することもできるので、持ち歩くカメラをスマホにするのかデジタル一眼にするのか、デジタルトイカメラにするのかという選択となります。
トイカメラアプリ
トイカメラを使って遊びたいということではなく、トイカメラ風の写真を楽しみたいということなら、スマホにアプリを入れても良いでしょう。
トイカメラアプリは無料なものから有料なものまで多くのアプリがあります。
トイカメラで検索するよりもvintage cameraで検索した方がイメージに近いアプリが見つけやすいでしょう。
高画質なスマホカメラで撮影した写真をトイカメラ風に加工するので、厳密にはトイカメラの味わいとはちょっと違うかもしれませんが、手軽さで言えばチェキトイカメラよりも簡単に撮影できます。
トイカメラ風の撮影モード
デジタル一眼にはトイカメラ風の撮影モードが搭載されている機種もあります。
トイカメラ撮影モードを使った写真はそこまでトイカメラ感が強い写真ではありませんが、雰囲気ある写真になります。
より強いトイカメラ感を出したい場合は、Raw現像時に加工すると良いでしょう。
Camera Rawを使ったトイカメラ風現像テク
普通のデジタル写真もトイカメラ風にレタッチすることが可能です。
今回はデジタル一眼のRaw現像時にCamera Rawを使ってトイカメラ風に加工する簡単な方法を紹介します。
基本的な操作が同じLightroomでもほぼ同様に加工可能です。
トイカメラ写真の加工ポイント
トイカメラで撮影した写真の特徴としては以下のようなことがあげられます。
- ハイコントラスト
- 周辺減光
- 色かぶり
- 荒い画質
- ピントの甘さ
Photoshopなどでこれらを再現するには様々な方法がありますが、今回はCamera Rawで簡単に加工する方法を紹介します。
RAW画像でなくとも、Photoshopからスマートフィルターを使うことでもCamera Rawで編集が可能です。
トイカメラ風編集手順
まずはトーンカーブをS字にしてコントラストをあげます。
全体の明るさのレンジを狭くすることで、更にトイカメラ特有の雰囲気を作ります。
周辺減光はレンズ補正でマイナス補正をかけることで簡単に再現できます。
また、歪曲収差もレンズ補正で加えることができるので、少し歪曲をかけるとトイカメラの単玉レンズで撮影したような雰囲気の再現ができます。
最後に基本補正で細かいレタッチを行います。
まずは色かぶり補正で色かぶりを作っていきます。
全体的に緑に寄った写真とすると、トイカメラの雰囲気に近づきます。
あとは、明瞭度を下げることでソフトフォーカスを再現し、彩度を上げて荒い感じの画質に仕上げると完成です。
この方法なら、少ない工程でトイカメラ風にレタッチすることが可能です。
Photoshopでは逆光のゴーストを再現したり、フィルムのザラザラとした質感を再現するなど、より高度なレタッチも可能ですが、Camera Rawでは少ない手順でもかなりトイカメラの雰囲気を再現することができます。
まとめ
- トイカメラは数千円で手に入り、低画質が独特の雰囲気となるカメラ
- アプリや、カメラの撮影モードでもトイカメラ風の撮影が可能
- Camera Rawなら少ない手順でトイカメラ加工が可能
トイカメラは高機能、高画質なデジタル一眼とは対極にあるカメラといえます。
しかし、使いにくく、低画質だからこそ撮れる写真もあるので、高画質な写真に行き詰まったら、トイカメラに挑戦してみるのも面白いでしょう。
またデジタル一眼の写真もトイカメラ風に加工することで違った雰囲気を生み出すことも可能です。
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