一眼カメラ用レンズのカタログを見ていると、「フレアやゴーストを低減」という謳い文句をよく見かけますが、具体的にはどういった現象なのでしょう。
フレアやゴーストの対策や、効果的な見せ方などをみていきましょう。
フレア、ゴーストとは?ハレーションやスミアなどの違いとは?
フレアやゴーストとは光の加減で写真にいろいろ写り込んでしまうことということはわかっていても区別はついていないという人もいることでしょう。
言葉の定義は正確に覚えなくても撮影には影響しないのでフレアとゴーストをはっきりと区別して理解する必要はありませんが、フレアやゴーストがどういったものかということは写真に影響するので頭に入れておく必要があります。
フレアやゴーストは、逆光や順逆光など、強い光源に向かって撮影したときに、コントラストが低下したり、光の円が写ってしまう現象です。
コントラストが低下してしまう現象がフレア、光の円が写ってしまう現象がゴーストです。
似た現象の言葉にハレーションやスミアという言葉もあります。
ハレーションはフレアと同じ現象ですが、フィルム内で起こる反射が原因でフィルムを使わないデジカメでは起こりません。
スミアはCCDイメージセンサーを使ったデジタルカメラで起こる現象で、強い光にレンズを向けると縦に線が入る現象です。
CCDの光の処理方法に起因した現象で、CMOSセンサーが主流となっているデジタル一眼ではこれもあまり関係ありません。
フレアやゴーストの原因とは?
フレアやゴーストの原因は、主にレンズ内に強い光が入ってきたことが原因となります。
レンズは透明に見えますが、全ての光を透過するわけではなく反射する光もあります。
一眼カメラ用レンズは、複数のレンズが組み合わさって1本の一眼カメラ用レンズが出来ています。
レンズ内ではなるべく反射が起きないように作られていますが、逆光や半逆光などでレンズ内に光源の強い光が直接入ってくると、わずかな反射でも目視できるくらいの光となり写真に現れてしまいます。
こうして写ってしまったのがフレアやゴーストです。
フレアやゴーストを出さなくするための対策
フレアやゴーストを出さなくするための対策は大きく分けると2つです。
レンズに強い光が入らなくする方法とレンズ内の反射を抑える方法です。
レンズに強い光が入らなくする方法
もっとも簡単なフレア、ゴースト対策は、順光で撮影することです。
順光で撮影すれば強い太陽の光は直接レンズには入らないのでフレアやゴーストは現れにくくなります。
とはいえ、順光でしか撮影しないというのは窮屈ですよね。
半逆光でフレアやゴーストが発生しにくくするには、レンズフードを使うことです。
レンズフードを使えばレンズに斜めから入ってくる光を制限できるのでフレアやゴーストが発生しにくくなります。
それでもフレアやゴーストが発生する場合は、ハレ切りをします。
ハレ切りとは、レンズの上方に板などをかざしてレンズフードよりもさらに強力に斜めの光を制限する方法です。
ハレ切りするときは、ゴーストを消すことに夢中になって、ハレ切りしている板などが見切れてしまわないように気をつけましょう。
その他の強い光が入らない対策としては、広角レンズを避けるということもあります。
広角レンズが画角が広いので、フレアやゴーストの影響を受けやすいレンズな上に、レンズフードはケラれることもあるので使いにくいということもあります。
フレアやゴーストをどうしても避けたい場合は超広角などのレンズが突出したものは避けるようにしましょう。
レンズ内の反射を抑える方法
レンズ内の反射は、レンズ設計の段階である程度決まってしまっているので、ユーザーとしてできることは限られてしまいます。
そんな中でもユーザーにできることとしては、レンズフィルターを外すか低反射率のものに変更するということです。
新しいレンズを買ったらとりあえず付けたくなるレンズ保護フィルターですが、レンズ設計段階ではレンズ保護フィルターの装着は想定していない、いわゆる余計な光学系です。
レンズ保護フィルターがフレアやゴーストの原因となることもあるのでまずは外して撮影してみましょう。
さすがにユーザーがレンズ設計を変えることはできませんが、フレアやゴーストを出しにくいレンズを選ぶという方法はあります。
1番わかりやすいのが、Nikonのナノクリレンズです。
Nikonレンズで使われるナノクリスタルコートはレンズに反射防止コーティングをすることでフレアやゴーストの発生を抑えてくれます。
他社でも似たようなコーティング技術を施したレンズがあるので、フレアやゴーストが気になりやすい広角レンズを買うときなどは是非チェックしたいですね。
他には、撮影時に絞りすぎないようにすることでレンズ内の反射を抑えることもできます。
絞りすぎるとレンズ内で回折現象が起きて反射光が目立ちやすくなります。
フレアやゴーストを消す場合はなるべく開放に近い絞りで撮影しましょう。
フレアやゴーストを写真に取り入れる出し方や見せ方
フレアやゴーストは必ずしも避けるべきものではありません。
ケースバイケースですが、フレアやゴーストを写真に故意に取り入れることで印象的な写真にすることもできます。
フレアやゴーストの効果
フレアが発生するとコントラストが低下するので柔らかな印象の写真になります。
ゴーストは、何もないところに光が写ってしまう現象ですが、ゴーストが写ることで光を意識した写真にすることができます。
その他にもフレアやゴーストが入っている写真というのはカメラで撮影しないと見られない景色でもあるので、個性的だったり、目を惹く写真にすることができます。
フレアやゴーストの出し方
フレアやゴーストを写真に入れるには、言うまでもなく逆光で撮影することです。
しかし、最近のレンズはフレアやゴースト対策がされていて、簡単にはフレアやゴーストは出にくいですね。
フレアやゴーストをより強く表現したいという場合はオールドレンズを使うというのも一つの手です。
オールドレンズはフレアやゴースト対策されていないものも多く、逆光で撮影すると盛大にフレアやゴーストが発生するものもあります。
しかも、それがオールドレンズならではの味となるものもあるので、オールドレンズを手にしたときは是非とも使ってみたいテクニックです。
LightroomやPhotoshopでのフレアやゴーストの加工法
LightroomやPhotoshopといったRAW現像・画像編集ソフトを使えば、フレアもゴーストも思いのままです。
Lightroomを使ってフレアを除去
Lightroomを使ったフレアやゴースト対策としてはいろいろな方法がありますが、最も簡単な方法としては「かすみの除去」です。
かすみの除去は、霧やガスなどでもやっとした写真をクリアにするレタッチをスライダーのワンクリックでできる便利機能です。
これをフレアが出てしまった写真に適用することで、フレアを軽減させることができます。
Photoshopを使ってフレアやゴーストを発生
Photoshopでもフレアやゴーストを軽減させることが可能ですが、逆に発生させることも可能です。
Photoshopでは逆光フィルターというフィルター効果によって普通の写真にフレアを発生させることも可能です。
逆光フィルターは、フィルター>描画>逆光で呼び出すことができます。