一眼レフカメラにはミラーアップ撮影機能というものがあります。
ミラーアップ撮影は、三脚撮影などでカメラブレを抑えるために行います。
ところでカメラブレとはどのようなものなのでしょう。
カメラブレがどういうもので、ブレを抑えるにはどうしたらよいか調べてみました。
カメラのブレの種類
撮影時のブレには手ブレ、被写体ブレ、カメラブレという3種類があります。
手ブレはカメラの基本とも言えますね。
カメラを支える持ち手が安定しないことでブレてしまうことです。
被写体ブレは、被写体が速く動くことでブレてしまうことです。
被写体がモデルであれば止まってもらうこともできますが、子供や動物、乗り物など被写体を止められない場合はシャッタースピードを上げてブレを抑えたりします。
カメラブレは一番馴染みのないブレかもしれません。
カメラブレは機構ブレ、メカブレなどとも呼ばれ、撮影時にミラーやシャッター幕が動くことによって生じるブレです。
ミラーショック、シャッターショックとも呼ばれる振動で発生するブレになります。
ミラーショック、ミラーアップ、シャッターショックとは
一眼レフのカメラ内で、撮影時にどのようなことが起きているかということはだいたい知っている人がほとんどと思われますが、一応おさらいしておきましょう。
一眼レフカメラは、通常時、カメラ内のミラーでレンズの光を反射してファインダーに像を投影しています。
シャッターボタンが押されると、ミラーが跳ね上がり、シャッターの先幕が開き、続いて後幕が閉まり露光が終了すると、再びミラーが降りてきます。
この、ミラーが跳ね上がる時の振動がミラーショックです。
そして、一連の動きで起こる振動がシャッターショックというわけです。
シャッターショックはシャッター幕による振動のみを指す狭義の解釈や、シャッターボタンを押す指で起こされる振動まで含めた広義の解釈もあります。
カメラブレの大部分はこのシャッターショックが占めます。
特にミラーショックは影響が大きいので、シャッター前にミラーを事前に上げておく、ミラーアップという機能がレフ機には採用されていたりします。
ミラーショックはそこまで心配するもの?
そもそも、カメラの内部でミラーやシャッターが動いたぐらいの振動はそこまで気にするものなのでしょうか。
D800系で起きたミラーショック問題
過去に、Nikonのハイアマチュア機であるD800系のカメラでは「前のカメラよりも高解像度のD800系を買ったのに解像感がない」というレビューが多く出たことがありました。
2012年に発売されたD800は3630万画素という高画素で注目を集めたのですが、高画素機であるがゆえに、今まではそこまで目立つことのなかったミラーショックによる微ブレが目立ってしまったのです。
その後、D800はD810、D850と後継機が出るにつれミラーショック対策がされ、ミラーショックはかなり改善されています。
ミラーレス機でシャッターショック!?
ミラーレス機はミラー機構がないのでシャッターショックはほぼないように思われますが、実はミラーレスこそシャッターショックが大きいという意見もあります。
ミラーレス機はレフ機よりもコンパクトで軽量なので、シャッター幕の動きで起こる振動がボディで十分に吸収されずにショックが大きくなる傾向にあります。
ミラーレス機でもシャッターショックには配慮する必要があります。
ミラーショックとシャッタースピード
ミラーショックやシャッターショックに限らず、ブレはシャッタースピードが速くなると目立たなくなり、遅いと目立ちます。
手持ちで撮影する場合は、手ブレを抑えるためにレンズの焦点距離分の一というシャッタースピードを目安に設定します。
例えば、焦点距離100mmのレンズであれば1/100以上のシャッタースピードに設定することで手ブレを抑えられます。
手ブレを抑えるシャッタースピードがあれば、カメラブレも気にする必要はありません。
つまり、手持ちで撮影する場合はある程度のシャッタースピードがあるということで、ミラーショックやシャッターショックは気にする必要はあまりないということが言えます。
ミラーショックを抑えるミラーアップ撮影とは
では、どういうときにミラーショックやシャッターショックを気にする必要があるのか、ミラーアップ撮影をするシチュエーションや方法についてみていきましょう。
ブレが気になるシチュエーション
ミラーショックを気にするシチュエーションというのは全てのブレを抑える必要がある三脚撮影時です。
絞ってパンフォーカスにする風景撮影や、長時間露光する夜景や星空撮影ではシャッタースピードが遅くなるので、ミラーショックのような小さなブレにも注意が必要です。
特に高画素機の場合は微細なブレも描写してしまうのでブレ対策というのは大切です。
三脚撮影時に最も気をつける必要があるのはシャッターボタンを押した時の振動です。
ミラーショックよりも、シャッターボタンを押す振動はかなり大きなブレをカメラに与えます。
そこで、レリーズを使うことがおすすめになります。
レリーズはとりあえずシャッターを押すだけの機能であれば数千円で買えるものなので、1つ持っているだけでも撮影の幅が広がるので購入しておきましょう。
レリーズを持たない場合はタイマー機能を使うことで振動を抑えることもできます。
シャッターを押したあと数秒のラグがあることで振動が収まるので、レリーズがなくても振動を抑えることもできます。
ミラーアップ撮影とは
ミラーアップ撮影はレフ機の中級機であればほとんど備えている機能です。
文字通り、ミラーアップしてから撮影する機能です。
具体的には、ミラーアップ撮影を設定すると、構図を決めてシャッターボタンを押したタイミングでミラーアップし、もう一度シャッターボタンを押すとシャッターが切られます。
細かな機構はメーカーごとに異なりますが、ミラーアップ撮影の大まかな手順はこの様になります。
ミラーレス機では電子シャッターで
ミラーレス機には当然ミラーアップ機能はありませんが、電子シャッターで完全にカメラブレを抑えることができます。
ミラーアップするとAFやAEがストップする場合が多いレフ機と比較すると、電子シャッターが使えるミラーレス機はカメラブレを完全に抑え、AFやAEも撮影直前まで調整できるので三脚撮影時のメリットは大きいと言えそうです。
三脚撮影時は手ブレ補正を切る
さて、ここまで三脚撮影時にいかにブレを抑えるかという話をしましたが、三脚撮影時には手ブレ補正を切るということも忘れずに行う必要があります。
実は三脚撮影時に手ブレ補正が入っていると、被写体が動いたときにそれをカメラがブレと判断して手ブレ補正機能を動かしてしまい、逆にブレてしまうという現象が起こることがあります。
三脚撮影時の手ブレ補正は予想外のカメラブレの原因となることがあります。
ミラーアップ撮影は高画素機でよっぽど追い込んだ撮影をしない限りはそこまで必要ないかもしれません。
しかし、ミラーショックなどのカメラブレを頭に入れておくことは撮影の幅を広げたり、カメラの理解を深めるためには必要なポイントとなります。