バルブ撮影というと、何やらプロがやる特殊な撮影技術のように思ったりしていませんか?
バルブ撮影は意外と簡単に出来て、それでいてプロっぽい写真を撮ることが出来ます。
バルブ撮影のやり方を見ていきましょう。
バルブ撮影とは?
通常、露光時間はシャッタースピードでコントロールします。
30秒くらいの長時間露光ならばカメラの設定でシャッタースピードをコントロールできます。
しかし、それ以上の長時間露光はバルブ撮影でコントロールする必要があります。
カメラの設定ではなく、シャッターを押す長さで露光時間、シャッタースピードをコントロールする撮影方法がバルブ撮影です。
カメラをバルブ撮影モードにすると、シャッターを押している間はシャッターが開き続け、シャッターボタンを放すとシャッターが閉じます。
バルブの語源
なぜこの様な撮影方法を「バルブ」と言うのでしょう。
バルブというと、水道管のバルブのように弁や栓といった意味合いのバルブがありますが、これはvalveなのでカメラのバルブ撮影とは違います。
カメラのバルブ、bulbには球根という意味があります。
玉ねぎやチューリップのような球根です。
そして、その形から電球という意味もあります。
カメラのバルブはこの電球からきています。
カメラにフラッシュが搭載される以前、暗がりでは電球を使って撮影していました。
暗がりでは、まずシャッターを開けて、次に電球を点灯させます。
そして、露光させたあとは電球を切ってシャッターを閉じます。
つまり、シャッターを開けっ放しにして、電球の点灯時間で露光時間を調整します。
このことで、電球という意味から、シャッターを長時間開けっ放しで撮影することをバルブ撮影と呼ぶようになりました。
バルブ撮影のやり方
基本的なやり方としては長時間露光のやり方と同じです。
露光中にカメラが動かないように三脚に据えて撮影します。
次にカメラのシャッタースピードをバルブモードにします。
ほとんどの一眼カメラはマニュアル撮影モードにして、シャッタースピードをbulbまで上げることでバルブ撮影が可能となります。
あとはシャッターを押せば、押している間はシャッターが開いて、シャッターを放せばシャッターが閉じます。
基本的にはレリーズが必須
バルブ撮影はシャッターを押し続ければその時間だけ露光できますが、カメラのシャッターボタンに触れると三脚で固定していてもブレが発生します。
長時間露光であればタイマーを使ってシャッターが開くまでに時間差を作ることでブレを軽減させることができますが、バルブ撮影ではシャッターボタンを押し続ける必要があります。
そのため、バルブ撮影では基本的にはレリーズが必須となります。
レリーズはシンプルなものから高機能なものまで
新たに機材が必要となると、ちょっとハードルが高く感じるのがカメラ撮影です。
撮影機材って高いですからね。
しかし、レリーズは単にシャッターを押す機能だけのものなら、1000円前後で購入可能です。
タイマーによってシャッター開放時間をコントールしたり、一定間隔で連続撮影できるような高機能レリーズでも3000円程度と撮影機材としてはかなり手頃な価格です。
バルブ撮影の予定がすぐにはなくても、三脚を買うときのついでなどに購入しても良いですね。
バルブ撮影のおすすめシーン
バルブ撮影の準備が整いましたが、実際にはどんなシーンで使えば良いのでしょう。
花火撮影
花火撮影はバルブ撮影が最も活躍するシーンです。
花火撮影は花火が光っている間、露光させます。
つまり、バルブ撮影の語源と同じ様に撮影します。
カメラの設定はシャッタースピードをバルブ、ISO100、絞りはF13程度まで絞ってピント面を広くします。
フォーカスはマニュアルで無限遠に合わせて固定します。
これは明るいうちにやっておくか、遠方の街頭などを使うと合わせやすくなります。
あとは花火が光ったタイミングに合わせて花火が光っている間レリーズを押すだけです。
細かい調整は撮影しながら各種設定を変更していくことになります。
夜景撮影
夜景撮影でもバルブ撮影は活躍します。
バルブ撮影のメリットは景色に合わせて露光時間を変更できるということです。
夜景撮影はバルブ撮影ではなくても長時間露光をすることで撮影できますが、バルブ撮影にすることで車のテールライトの長さなどコントロールすることができます。
また、夜景撮影の中でも星空撮影では、30秒以上の露光が必要なのでバルブ撮影が必須です。
ホタル撮影
ホタル撮影でもバルブ撮影が活躍します。
ゲンジホタルは点滅しながら飛ぶので、光跡を撮影する方法が一般的です。
ホタルは暗闇の中を点滅して飛ぶので、露光時間というよりも露光タイミンがが大切なのでバルブ撮影で露光タイミングをコントロールすることでうまくホタルの光跡をフレームに収めることができます。
懐中電灯でおもしろ写真も
バルブ撮影を利用すると、懐中電灯と組み合わせてこんなおもしろ写真を取ることもできます。
まるでライトで空中に絵を描いたような写真は、露光時間をコントロールできるバルブ撮影ならではといえます。
バルブ撮影は、F値やISOなどの設定が難しく感じるかもしれませんが、バルブ撮影に慣れている人でも細かい調整は撮影しながら行います。
まずは撮影してみて、トライ&エラーを繰り返すことでイメージどおりの写真に近づきます。
あまり難しく考えずに、撮影しながら様々な設定を試せば設定の変更による写真の違いもわかるので、カメラの撮影テクニックの理解向上にもつながります。