
SONY α7RⅣはついに一眼カメラを6000万画素超えの時代に突入させました。
では6000万画素を超えるとどのぐらいの大きさに印刷できるのでしょう?
印刷では画素数よりも画像解像度、DPIがポイントとなります。
DPIと画素数の関係についてみていきましょう。
画像解像度、DPIとは?
カメラのスペックでは画素数という数値がよく使われます。
しかし、印刷の現場では画像解像度、DPIが重要となります。
画素数と解像度は似た概念なので混同しがちですが、画像、写真を扱う上ではしっかりと違いを理解しておく必要があります。
画像解像度を示すDPIとはdots per inchの略で、1インチにドットがいくつ並んでいるかということです。
印刷原稿がフィルムや活字、手書きなどからパソコンによる編集、デジタルデータに移行したことで、現代の印刷のほとんどがドット単位で印刷が管理される様になりました。
デジタルデータは基本的に「0」と「1」の並びなので、印刷物などに出力するときも「点」つまりドットにすると都合が良いのです。
さて、話を戻すと、DPIは数値が大きければ大きいほどドットの密度が高くなるので高精細な印刷物になるということが言えます。
しかし、DPIの最高値というのはハードに依存します。
印刷機の性能に依存するのは当然として、パソコンもDPIが大きいデータを編集したり出力するときはメモリなどに負荷がかかります。
また、DPIが大きくなると紙にのせるインクの量も増えるので、紙によってはにじみが出たりすることもあります。
印刷するときのDPIは紙質、印刷量や時間、印刷機やパソコンの性能と、綺麗な印刷結果にするために必要なドット密度との兼ね合いで決められます。
液晶にもDPI
出力という意味では、あまり表記されませんが液晶画面にもDPIが存在します。
基本的に液晶画面のスペックは画素数表記が一般的ですが、同じ画素数であれば液晶の大きさが小さい方がDPIは大きくなるということは直感的にご理解いただけると思います。
液晶の場合はドットよりもpixelという単位が使われてきたのでDPIではなくPPIという単位がよく使われますが、DPIと同じものと考えて差し支えありません。
印刷に必要な画像解像度、DPIとは?
基本的に、家庭用プリンタで写真を印刷するときはDPIはほとんど意識する必要はないでしょう。
デジカメ黎明期はL判ですら画素数不足となるデジカメもありましたが、もはや2000万画素超えが当たり前となった昨今のデジカメでは家庭用プリンタでDPIを気にすることはほとんどありません。
DPIが重要となるのはポスター発注や刷子を作るときなどに印刷会社で印刷するときなどではないでしょうか。
卒業アルバム作成などでもDPIがポイントとなることがありますね。
一般的に印刷会社で使われるDPIとは
一般的に印刷会社で大量印刷する場合は300~350dpiで印刷されます。
これは上質紙などに印刷されたものが、人間の目で違和感なく綺麗に見えるDPIということでこの数値となっています。
白黒で印刷されるときはこの半分の150dpi程度で印刷されることもあります。
さらに、新聞などの荒い質感の紙の場合も低いDPIで印刷されます。
スマホカメラなどの写真で画素数が少ない写真を卒業アルバムで使うときなどは300dpiという数値を参考にして印刷する大きさを考えるとよいでしょう。
ちなみに、入稿する際に指定された数値より小さいDPIのデータでは綺麗に印刷できないので問題があるということはもちろんですが、大きすぎても問題となることがあります。
多少大きいくらいであれば印刷会社で調整してくれますが、あまりに大きいDPIのデータはパソコンに負荷がかかるので重すぎて開くのに時間がかかったり、フリーズする原因となることもあります。
家庭用プリンターのDPI
家庭用プリンターでは600dpiのものが多く販売されいます。
これは光沢紙などを使って写真印刷をしたときに綺麗に印刷できるDPIということになります。
家庭用プリンターでは印刷会社の様に大量印刷することはないので、DPIはより高くなります。
家庭用プリンターの中には2400dpiでの印刷が可能な機種もあります。
Webデザインで意識するべきDPIとは
ブログやHPを作成するときは画像は72dpiにするという暗黙ルールの様なものがあります。
なぜWebでは72dpiなのでしょう。
実はWeb作成では解像度はあまり意味がない
DPI、液晶ではPPIという数値も使われますが、解像度は液晶によって数値が変わります。
例えば、iPhoneの画面は300dpi近い解像度があるのに対して、パソコンモニターでよく使われる23インチフルHD液晶では100dpi程度という大きな差があります。
つまりWeb作成でDPIを気にしても、ユーザーの閲覧環境で表示するDPIが変わってしまうのでさしたる意味はないのです。
Webは72dpiの理由
Webで使われる画像の解像度が72dpiなのは、その昔、Macのディスプレイ解像度が72dpiだったからです。
Webデザインの現場ではMacが主流だったので72dpiで統一されていました。
パソコンが普及しはじめた当初はモニターもMac以外でもさほど大きさが変わらなかったので統一された解像度で問題ありませんでした。
また、現在の様に光ケーブルや4G高速通信が普及する以前は画像表示に時間がかかるので画像はなるべく低解像度にしてサイズを小さくする理由もありました。
先述の様にWebでは解像度には大きな意味はありません。
しかし、作業をする上では解像度は統一されてなければWebデザインは煩雑なものになります。
そこで、最近でも72dpiで統一して作業が進められています。
Retinaディスプレイや大型ディスプレイの普及で画像解像度も変わってきましたが、パソコンでWeb画像を表示するときに、ブラウザを画面いっぱいに展開して表示するということはあまりないので、現代においても72dpiで十分対応出来ています。
4K・8K時代の解像度
最近よく目にする4Kや8K対応という液晶。
4Kや8Kは単純にフルHDから画素数が2倍、4倍になるということです。
同じ大きさのディスプレイであれば、DPI、PPIも2倍、4倍となります。
ちなみに4K、8Kといった数値を画素数に直すと800万画素と1600万画素となります。
つまり、昨今の一眼カメラで撮った写真は4K、8Kモニターで全画面表示しても十分な画素数があるということになります。
DPIと目の距離
液晶モニターに出力する場合も、印刷物として出力する場合も同じですが、同じDPIでも見る距離によって見え方は変わってきます。
たとえば、L判などの写真はかなり目に近づけるて見るので、300dpiでも印刷の粗さが目立つ場合もあります。
逆にポスターサイズであれば、ポスターに顔をくっつけて見る人はおらず、数メートル離れた距離で認識できれば良いので200dpiでも印刷が粗いという印象はありません。
もちろん、ポスターでも印刷仕上がりを重視するのではあれば300dpiやそれよりも大きなDPIで印刷されることもあります。
その場合は、紙もより上質にする必要があり、印刷コストは高くなります。
液晶テレビでも同じ様なことが言えます。
50インチなどの大型テレビを1mぐらいの近距離で見る人はいないでしょう。
1mくらいから見るなら30インチ程度が見やすくなります。
同じ4Kという画素数で、50インチや30インチというテレビを作るとDPI、PPIは1.7倍変わってきますが、見る距離が変わるので解像度の低い50インチでも粗さが目立つということはありません。
50インチテレビでもより近づいて見たいという場合は8Kテレビを選択すると近づいても4K30インチと似たような見え方になります。
ただし、8K映像はあまり放送されていないので、時期尚早かもしれませんね。
DPIは出力時の画質に関わるので、なるべく高くしたいと思いがちですが、芸術作品を作るのではなければ、印刷スピードやコスト、処理能力などを考えて、見た目に問題ないであろう実用的なDPIを選ぶことがベストです。
一眼カメラの画素数と解像度
では最後に画素数と解像度について見ていきましょう。
DPIについて理解していただければ、写真の画素数から印刷可能な紙の大きさが計算できるということも理解できると思います。
画質の粗さが目立たないDPI、300dpiで印刷する場合は、1インチに300個のドットが並んでいるので、画素数の横のピクセル数を300で割ると印刷時の横幅がインチ数で算出することができます。
大した計算ではないですが、桁数が大きいのと、インチをセンチにするのがちょっと面倒ですね。
今主流の画素数である2000万画素あれば、A3まで300dpiで印刷できます。
これは大雑把な計算なので、正確にはA3、300dpiでは1660万画素なのですが、大まかな数値を覚えておくと、他の画素数でも応用できます。
α7RⅣ6000万画素ならばA3ならば900dpi、300dpiならA1までという様に概算することができます。
中判ではなくフルサイズカメラで300dpiのA1ポスター撮影ができるというのは驚きの画素数です。