
もしかすると、5年後にはRAW現像はJPEGに変換ではなくなっているかもしれません。
そんな可能性を秘めている画像フォーマットがwebPです。
画像フォーマットの基本知識を復習しながら、webPがどういうものなのか、メリットやデメリットなどをみていきましょう。
画像フォーマットとは
まずは画像フォーマットについて復習しましょう。
フォーマット
フォーマットは形式や書式のことで、パソコンに限らず、写真の用紙サイズなどもフォーマットと呼ばれたりもします。
デジタルデータのフォーマットとは保存形式のことになります。
パソコンやスマホの保存ファイルの名前の最後に書かれている「.jpg」は拡張子と呼ばれ、
さらに、メモリーカードなどの記録媒体を初期化して書込み可能な状態にすることもフォーマットと呼びます。
画像フォーマット
画像フォーマットと言う時のフォーマットは保存形式を指しています。
画像フォーマットにはJPEGやGIF、PNG、TIFFなど様々な種類がありますが、パソコンもスマホもアプリが様々な画像フォーマットに対応していて、画像データはフォーマットに関係なく表示できるようになっています。
そのため、画像フォーマットは写真が趣味だったり、普段画像を加工したりする人以外はあまり意識していないかもしれません。
意外と奥が深い画像フォーマット
画像を見る側はあまり意識しない画像フォーマットですが、画像を発信する側は意識しなければなりません。
画像は文字データに比較するととても大きなデータなので、ほとんどの画像フォーマットは圧縮してデータ量を小さくしてから保存しています。
圧縮の方法としては様々な方法がありますが、大きく分けると可逆式と非可逆式の圧縮方法があります。
例えば、横列で「AAaaBBCCCC」という色データがあった場合、「AABCC」というように「a」というAに似た色を省いてしまう圧縮方法ではデータ量が10文字から5文字になってかなり圧縮されていますが、元の画像とは違った画像になるので元画像の完全再現はできなくなります。
これが非可逆圧縮です。
一方で「AAaaBBCCCC」を「A2a2B2C4」という様に保存すると、データ量的には10文字が8文字に圧縮されていますが元データに再現できるので可逆圧縮となります。
つまり保存形式によってはデータ量が変わったり、元とは違う画像になるので画像をWEBなどで発信する場合は画像フォーマットが重要になります。
非可逆圧縮の保存
保存ごとに劣化してしまう非可逆圧縮画像ですが、コピーでは劣化しないという点は理解しておきましょう。
非可逆圧縮画像が劣化してしまうのは、Photoshopなどの画像編集ソフトで新たに書き出して保存する場合です。
フォルダから別フォルダにコピーするだけでは劣化しません。
ネットからのダウンロードでもコピーなので劣化することはありません。
非可逆圧縮のJPEGと可逆圧縮のPNG
JPEGはRAW現像でもよく選択される画像フォーマットですね。
1670万色フルカラーに対応していて、人間の目が認識できるのが1000万色と言われているので、目に見えている色はほぼ再現できる保存形式です。
ただし、非可逆圧縮なので保存を繰り返すと元画像から劣化するというデメリットもあります。
一方でPNGは可逆圧縮の画像フォーマットです。
対応している色もJPEGと同じフルカラーですが、可逆圧縮なのでアニメなどのベタ塗りの画像は劣化を少なく小さく圧縮できる一方で、グラデーションの多い写真などはデータ量が大きくなるデメリットがあります。
また、JPEGとPNGの大きな違いとしてはアルファチャンネルがあります。
アルファチャンネルとは簡単に言えば画像に色情報の他に加えられた透明度の情報のことで、PNGはアルファチャンネルの登録が出来るので、背景を透明にすることができます。
こういった点から、JPEGは写真、PNGはイラストという住み分けがされています。
RAWという画像フォーマット
一眼カメラではRAWという形式で保存されることがよくありますね。
ただし、RAWというのは厳密には画像フォーマットではありません。
RAWはイメージセンサーで感知した光をデジタルデータに変換してそのまま保存したものの総称です。
イメージセンサーや映像エンジンはカメラメーカーごとに異なるので、RAWデータの保存形式はメーカごとに異なります。
RAWデータはJPEGなどに比べると色や明るさの情報がそのまま保存されるので、かなりデータ量が大きくなります。
全く圧縮しない非圧縮RAWは写真1枚で100M近くなることもあります。
そのためJPEGで再現できる色数に合わせて圧縮した14bitRAWや可逆圧縮のロスレス圧縮RAWでファイル容量を小さくすることもできます。
一言でRAW画像と言ってもどのように圧縮されるかは知っておくべき情報になります。
webPとは
WebPはGoogleが開発し2010年に公表された画像フォーマットです。
インターネットトラフィックを改善するために従来の画像フォーマットよりも軽量化されています。
可逆、非可逆両方の圧縮に対応していて、JPEGと異なり非可逆圧縮でもアルファチャンネルを扱うことができます。
webPのメリット・デメリット
webPのメリットはなんといっても軽いということです。
GoogleのデータによるとJPEGやPNGよりも30%程度軽くすることが出来るということです。
画像を多用したWebサイトではかなりの速度向上が期待できそうです。
HP上の画像をすべてWebPにしたことで50%もの速度向上に繋がったサイトもあるとのことです。
もう1つのメリットとしては画像フォーマットの統一の可能性があるということです。
今まではHPで写真をアップするにはJPEG、背景を透過させた画像ならGIFかPNGといった感じで使い分ける必要がありましたが、WebPならば透過画像も写真も対応できます。
デメリットは、やはり発展途上ということです。
2010年に仕様が公開されましたが、まだ対応していないブラウザもあるのでWeb作成者はWebPを積極的には使えずにいます。
まずはブラウザ側での浸透が今後のポイントとなります。
今後はどうなる?
現状、インターネットを牛耳っているのはGoogleと言っても過言ではないでしょう。
スマートフォンがパソコンよりも多く広まっていて、そのOSであるAndroidを作っているのがGoogle。
パソコンのブラウザもEdgeの不人気によって、シェアトップはGoogleのChromeです。
そのGoogleがwebPを使いましょうと言っているのですから、そのうちJPEGもPNGもGIFもwebPに変わっていくことが予想されます。
ただ、一般ユーザーにとってはフォーマットに関係なく画像は見ることができるので大きく影響を受けるということはないでしょう。
カメラ愛好家としても、大きく気にする問題ではなさそうです。
とりあえずRAWで撮影しておけば、もしwebPが主流となったときは、現像時にwebPに変換すれば良いだけです。
現状ではwebPに対応していないブラウザも多いのでJPEGが無難となります。