カポックはスタジオ撮影ではなくてはならない撮影アイテムです。
しかし、屋外撮影では全く登場しないので、カメラが趣味でも無縁の人も多く、初耳の撮影アイテムという人も少なくないでしょう。
そんなカポックとはどの様なもので、どうやって使えばよいのでしょう。
カポックとは
カポックとはスタジオ撮影で使われる白や黒の大きな板で、主に発泡スチロールで作られています。
ライトの光を反射させて柔らかい光を作り出したり、影を消したり、被写体に当たってしまう余計な光を遮光するときに使われます。
カポックの語源は明らかではありませんが、観葉植物にカポックと呼ばれる植物があります。
カポックの実からとれる繊維は軽量で撥水性が高いことから発泡スチロールなどの石油化学製品が普及する以前は救命胴衣に使われていて、海上自衛隊や競艇ではカポックといえば救命胴衣のことを指します。
また、断熱材としてもカポックの実の繊維が使われることがありました。
このことが関連してか、撮影用の小道具を作る発泡スチロールなどもカポックと呼ばれ、撮影現場では発泡スチロール=カポックとなっています。
カポックとレフ板の違いとは
光を反射する撮影アイテムとしてはカポックよりもレフ板の方が身近ではないでしょうか。
ではカポックとレフ板の違いは何なのでしょう。
光を反射させる撮影アイテムというという意味ではカポックはレフ板の一種と考えて問題ありません。
一般的にはレフ板は折りたたみ可能で携帯性が高く、屋外でも利用できるものが多くありますが、カポックは大型で屋外撮影では風などの影響をもろに受けてしまい立てられないのでほとんどスタジオでしか使われないという違いがあります。
また、カポックは屏風の様に2枚合わせたものをV字にして立てたり、スタンドに固定して使うことが多く、レフ板は手持ちで支持という使われ方をします。
スタジオではカポックをメインに、ポイントとしてレフ板。
屋外撮影では折りたんで持ち運べるレフ板を使うという使い方が多くなります。
プロでも自作派が多いカポック
カポックは銀一などの撮影機材を扱う専門店で購入できますが、家電量販店などではほとんど売られていません。
通販サイトでも、ほとんど取り扱いがなく、またカポックはかなり大きいので送料もかかります。
撮影の現場でも、既製品を使っている場合もありますが手作りのカポックを使っている場合も多くあります。
カポックの作り方
カポックの作り方としては、最も簡単に済ませるなら白い発泡スチロール板を買ってくるだけです。
光を反射させるだけであれば、白い発泡スチロールで十分カポックとしての役割を果たすことができます。
しかし、カポックには光を遮る、遮光するという役割もあるので、反射と遮光、両方の役割が可能なカポックにするには片面をつや消し黒で塗装します。
発泡スチロールは油性塗料を使うと溶けてしまうので水性塗料を使います。
また、木工用ボンドを薄めたものを下地に塗っておくと発泡スチロール自体の強度もあがり、塗装が長持ちします。
発泡スチロールで自作したカポックは端からポロポロと発泡スチロールカスを撒き散らしてしまうこともあるので、端はつや消しの黒テープで補強しておくと良いでしょう。
36板とは
カポックのサイズは36(サブロク)と呼ばれるものが主流です。
この36は3尺×6尺のことで、メートル表記になおすと、909mm×1818mmです。
日本では建築設計などはメートルで行いますが、建築資材は日本家屋でよく使われる寸尺刻みで製造されるものが未だ主流です。
ホームセンターの資材置場などで売られている大きなベニア板はだいたい36板というサイズです。
カポックの様な大きな板も建築資材用のものが使われるので、カポックも寸尺でサイズが決まっています。
36板の発泡スチロールで作ったカポックを2枚屏風の様に組み合わせて立てるものが一般的です。
36板よりも一回り大きなカポックとしては48(シハチ)板のものもあります。
スタジオポートレートでは36板のカポックがよく使われますが、ブツ撮りなどではそこまで大きなものは必要ないので、自作するときは被写体の大きさに合わせて作れば使いやすいものができます。
カポックの使い方
カポックは36板の大きなものの場合は、2枚張り合わせたものを屏風のように立てるという使い方がよくされています。
36板を切るなどして小さくしたものでは、ライトの固定などにも使うセンチュリースタンドにクリップやピンなどを使って固定して使います。
カポックを固定するためのアイテムはセンチュリースタンドに対応したものが通販などでも比較的簡単に手に入ります。
カポックがグラグラと動いてしまうと被写体に当たる光も揺らいでしまうので、動かないようにしっかり固定することが重要です。
カポックの配置はレフ板の配置方法と同じです。
「ひとつの光源」というライティングの基本を守って、不自然なライティングとならないように被写体をカポックで囲みます。
カポックの白い面と黒の面をうまく使い分けて、光を回した遮光して自然なライティングとなるようにしましょう。