プロ向けではなくとも決して安くはないレンズ。
それだけに、よく分からないうちにネットの評価だけで買うと痛い目を見るのがレンズ選び。
自分が撮影したいシーンに合ったレンズを買わないと、宝の持ち腐れにだってなりかねません。
そんなわけで目的・シーンに合わせた最適なレンズをご紹介をしたいと思いますが、まずはカメラのレンズにはどんな種類があるのかを解説していきます。
レンズの種類とは
レンズは主に焦点距離によって分類されます。
焦点距離が長いものほど遠くのものを大きく撮影できて、短いものほど広い範囲を撮影できます。
正確には画角といって写る範囲が変わります。
焦点距離が長いと画角が狭くなり、イメージセンサーに狭い範囲の被写体が写るので大きく撮影することができます。
この「画角」はフルサイズ機とAPS-C機ではイメージセンサーの大きさが違うので、当然同じ焦点距離でも変わってきます。
APS-C機でフルサイズの画角を参考にする場合、レンズに書かれている焦点距離を約1.6倍したものがAPS-C機での画角になります。
では、焦点距離によって分類されるレンズの種類をみていきましょう。
単焦点レンズ
一眼カメラのレンズは大きく分けるとズームレンズと単焦点レンズに分けられます。
焦点距離が固定のものを単焦点レンズ、焦点距離を一定の範囲で変更できものがズームレンズです。
1つの焦点距離しか書かれていないレンズが単焦点で、「24-70mm」の様に焦点距離の範囲が書かれているものがズームレンズです。
単焦点レンズはズームレンズとは違って焦点距離を調節出来ないレンズで、カメラマンが前後に動いて被写体の写る大きさを変えなくてはいけないので一見すると不便なレンズに思えます。
しかし、ズーム機構がない分、レンズにたくさんの光を取り込んで明るくできるので大きなボケを作ることができます。
一眼カメラ特有のシャープな描写と大きなボケを楽しむなら単焦点レンズがベストになります。
標準レンズ
標準レンズは焦点距離が20~70mm程度のレンズのことを呼びます。
APS-C一眼カメラを買うと付属する様な18-55mmのキットレンズはお馴染みの標準ズームレンズです。
一般的に、人間の目はレンズに換算すると35~55mmの画角と言われていて、見た目に近い写真を撮りたいときに多用されるレンズと言えます。
広角レンズ
標準レンズは人間の目に近いと言われていますが、風景写真を撮ってみると、意外と平凡な画になってしまうということがあります。
吸い込まれそうな青い空や迫力のある山の景色を撮影するときに必要なレンズが焦点距離20mm以下の広角レンズです。
人間は風景などを見たときに脳で目を動かしながら見た映像を合成してイメージしてしまうので、標準レンズの画角だけではイメージよりも狭い画角の写真になってしまいます。
広大な景色をイメージ通りに撮影するなら広角レンズが必要です。
望遠レンズ
標準レンズよりも長い焦点距離をもつレンズが望遠レンズです。
望遠レンズには遠くの被写体を近くに見せる引き寄せ効果や、背景との距離を近づけて見せる圧縮効果、大きなボケを作るホケ効果があります。
遠くのものを撮影するためだけのレンズとも思われがちですが、100mm前後の中望遠と呼ばれる焦点距離の単焦点レンズは大きなボケを作って被写体を浮き上がらせることができるのでポートレートでよく使われます。
野鳥撮影などでよく使われるバズーカとも呼ばれる超望遠レンズは400mmを超える様な長い焦点距離のレンズです。
マクロレンズ
マクロレンズは最短撮影距離にフューチャーしたレンズです。
レンズにはピントを合わせられる被写体とレンズの先端が最短となる距離、最短撮影距離というものがそれぞれあります。
マクロレンズは、同じ焦点距離の普通のレンズよりも、より近い距離で撮影が可能になっています。
それによって、より被写体をアップで撮影することができます。
特殊レンズ
一眼カメラは撮影目的に合わせて自由にレンズ変えられるという特徴があります。
そのため、ニッチな特殊レンズもあります。
魚眼レンズ
まるで魚が見た映像を撮ったかのような大きく歪曲した写真で、通常の広角レンズよりも大幅に広い画角が撮影可能です。
レンズの最前部、いわゆる前玉が出っ張っているので出目金などとも呼ばれます。
ティルトシフトレンズ
ティルトシフトレンズはレンズ自体を傾けたり(ティルト)、ズラしたり(シフト)することが出来るレンズです。
高いビルを上から下まで撮影したり、広告写真などでピント面をコントロールする必要があるときに使われます。
虫の目レンズ
虫の眼レンズは写真家の栗林慧氏が昆虫写真を撮影するときに使って有名になったレンズです。
細長い鏡筒が特徴的で、栗林氏は自作の虫の目レンズを使っていますが、最近では市販品を購入することもできます。
その他にも一眼カメラにはニッチな用途に対応すべく様々なレンズがあります。
撮影目的とレンズ選び
レンズを購入するときは撮影目的に合わせて購入することが大切です。
「何となく性能が良いレンズ」を購入すると撮影目的に合わずにそのままお蔵入りなんてことも少なくありません。
家族・動物撮影
家族写真や動物写真などでは、高倍率のズームレンズがおすすめになります。
様々な撮影シーンでレンズ交換なしに万能で撮影できます。
18-135mmや24-240mm、18-400mmといった高倍率の焦点距離をもつレンズが純正や社外製で販売されています。
しかし、高倍率ズームレンズは光学設計に無理があるのでAFが遅くなったり、描画力に欠けるといった欠点もあるので、やはりレンズはシーンに合わせて取り替えることも必要です。
ポートレート
ポートレート、人物撮影では焦点距離が100mm前後の標準~中望遠レンズが基本とされています。
この焦点距離のレンズは被写体との距離が適度にとれるので、カメラを意識しない自然な表情を撮影できます。
また、広角~標準域に比べると背景がよくボケるので被写体を引き立ててくれます。
スナップ・テーブルフォト
スナップやテーブルフォトでは明るい単焦点レンズがおすすめとされていますが、絶対に単焦点レンズでなくてはならないということはありません。
ポイントは標準域の焦点距離ということです。
スナップは見た目に近い標準域のレンズがイメージに近い画角で撮影できます。
テーブルフォトなどのいわゆるブツ撮りでは、広角だと歪みが大きくなってしまいますし、望遠だと被写体との距離が必要になるので標準域のレンズがポイントです。
風景・夜景
風景写真はなんといっても広角レンズが大活躍する撮影シーンです。
迫力ある景色を撮影するには標準域のレンズでは画角が足りないので、広角レンズの出番となります。
星空撮影でもなるべく多くの星を画面内に捉えるには広角レンズが必要です。
迷ったら標準
風景に広角、ポートレートに中望遠というのは、あくまで基本的なレンズの選び方です。
被写体によってはどんなレンズを選んだら良いか微妙な撮影シーンは多々あります。
そういったときは、まずは標準ズームレンズを使って焦点距離による画角の違いを見てみましょう。
標準レンズは見た目に近い写真が撮れるので、そこから、それより望遠が必要なのか、広角が必要なのか判断すると良いでしょう。
2本目レンズの選び方
はじめて一眼カメラを買う場合は、標準ズームをセットで買うというのが一般的ですが、2本目のレンズに何を買うかというのが悩ましいところです。
単焦点はおすすめ
野鳥撮影やスポーツ撮影などで超望遠が必要な場合は単焦点よりもズームレンズがおすすめになりますが、それ以外であれば意外とおすすめなのが単焦点レンズです。
単焦点レンズは画角が変えられないので不便なレンズというイメージが初心者のうちはありますが、焦点距離と画角と被写体との距離を身につけるにはうってつけのレンズです。
そして単焦点レンズはズームレンズよりも明るいレンズなので、一眼カメラの特徴でもある背景ボケをより大きく生み出すことができます。
しかし、大きなボケが出来るからと言って開放ばかりで撮影してしまうとピント面が薄すぎたりして被写体全体を写せなくなるので、少し絞ったりします。
そこで絞りとボケの関係も身につけることができます。
一眼カメラを理解するには単焦点レンズがおすすめです。
そんな単焦点レンズは標準域であれば比較的手頃な価格で入手出来るということも2本目におすすめする理由です。
一眼カメラボディ購入でかなりのダメージを負った財布でも、比較的優しい予算となります。
望遠レンズはピーキーに選ぶ
唯一、2本目に単焦点レンズがおすすめとならないのが望遠レンズです。
野鳥撮影やスポーツ撮影で使う超望遠レンズは単焦点レンズになると逆にかなり高額になります。
そういった場合は望遠ズームレンズを購入することになりますが、その場合はなるべく長い焦点距離のレンズを購入することがおすすめになります。
200mm程度の望遠はけっこう中途半端な焦点距離で、屋内はともかく屋外での撮影では運動会などでもちょっと足りない焦点距離です。
であるならば、テレ端400mm、600mmといった超望遠レンズを買ったほうが満足の得られやすい結果となります。
また、テレ端400mmのズームレンズを買ったものの、焦点距離に不満を感じて600mmを結局買うというのはかなり予算が膨らみます。
まとめ
- レンズは大きく分けて6種類
- 焦点距離で用途も変わる
- 迷ったら標準ズームレンズで画角を確認
- 2本目には単焦点レンズの購入がおすすめ
レンズは焦点距離によって分類されたり用途が変わってきます。
まずはこれらの基本的な情報を抑えておくことが大切です。
基本的な情報を抑えておくことで、ポートレートで広角レンズを使ったり、望遠レンズを風景撮影に応用するといった撮影法も理解できるようになります。
一番大切なことは適材適所でレンズを交換しながら撮影を楽しむということです!